Comment

母親の明るく強く家族を支える姿と、 平和な日常の暮らしが奪われても、 例えゼロからの出発になろうとも、 希望を持ち続け、 無くしても再び見つけ出せると信じる事の大切さを、 10歳の少女が時代を超えて教えてくれました
三田 寛子(女優・タレント)
父親が幼いアンナやマックスを 一人の人間として接する姿は、感動的だ。 無理をせず、出来る範囲で、現実を一つ一つ乗り越えていく。 その会話が実に暖かい。 表現に愛がこもっている。 本当に知的な言葉とはこういうものだ と思わされた。 この家族が交わす会話が この作品の見どころ といってもいい。
角野栄子 (児童文学作家)
幼い亡命者は、 いくつもの「さよなら」を覚えた。 その言葉は、 逃げ道を希望の道へと変えていった。
中江有里 (女優・作家・歌手)
親子4人、国境を越えて流転する日常が、 子どものまなざしからみずみずしくも淡々と綴られる。 ナチスドイツは自国民に、 かくも過酷な亡命の苦しみを味わわせた。 そのことへの深い反省が、 難民を受け入れる現在のドイツ社会を支えている。
池田香代子 (翻訳家)
去る者は悲しく、留まる者は苦しい。 そしてその狭間に生きる人も切ない。 そんな絶望の時代の希望を描いた作品。
金原瑞人 (法政大学教授・翻訳家)
つらい亡命生活でもけっして、 心に灯る光だけは盗られやしない...。 ジュディス・カーの絵本に流れる 「どんな状況でも楽しんじゃう」 明るさや逞しさは、ここから来ているのですね。 愛と、勇気と、希望の物語。 いいものを観た。 みんなにも観てほしい!
東條知美 (絵本コーディネーター)
「亡命者に別れはつきものなの」 誰よりも逞しく、 誰よりも繊細に現実を受け止めていくアンナ。 その中で物語の種を育てていけたのは、 いつでも「我が家」があったから。 たとえうさぎが盗られたとしてもね。
磯崎園子 (絵本ナビ編集長)
亡命ユダヤ人家族にしのびよる迫害の魔手。 それでも希望は捨ててはいけない。 子どもたちの表情に、 はげまされるのはむしろ大人たちだ。 そして、知る。 この現実はけして過去のものではないのだと。
天沼春樹 (ドイツ文学者・作家・翻訳家)
愛らしく溌溂とした少女と、 現実味を帯びたヒトラー政権の粛清に備える大人の緊張。 両者のギャップに潜む権力の恐怖を映画は映す。 政治が変われば人も家族の暮らしも、すべてが変わる。 いま歴史がひしと胸に迫る。
きさらぎ尚 (映画評論家)
大切なものを手放さなくてはならない時が、人生にはある。 生きるために、前へ進むために。 しかし「うさぎ」が象徴する 「選ばなかった愛すべき過去」は、選んだ現在いまに 灯をともしてくれる光の相棒でもあるのだ。
内藤 貴子 (児童文学研究者)
(敬称略・順不同)